濃いサングラスほど、目に悪いことがある
可視光線透過率と紫外線透過率は別物である
夏になると必ず出る話題なので、当会の見解を整理しておく。結論から書く。
レンズの色の濃さと、紫外線を防ぐ力は、まったく別の話である。
二つの数値
サングラスの表示でよく見る数値は、主に次の二つだ。
可視光線透過率(VLT)
目に見える光をどれだけ通すか。単位はパーセント。
- 80〜100% — ほぼ素通し。屋内・夜間向け
- 40〜80% — 薄色。曇天・室内外の往来
- 18〜40% — 一般的な日常用サングラス
- 8〜18% — 強い日射・海・雪面
- 3〜8% — 極端な環境(高地の雪面など)
この数値は「暗さ」であって、紫外線とは無関係である。
紫外線透過率(UV透過率)
紫外線をどれだけ通すか。「UV400」という表示は、波長400nm以下をほぼ遮ることを意味する。これがサングラスに求められる本来の性能だ。
濃いレンズが危険になる仕組み
目は入ってくる光の量に応じて瞳孔の大きさを変える。明るければ縮み、暗ければ開く。
ここで、紫外線を通してしまう濃いレンズをかけたとする。
- 可視光が減る → 目は「暗い」と判断する
- 瞳孔が開く
- しかし紫外線はレンズを通過している
- 開いた瞳孔から、裸眼のときより多くの紫外線が入る
つまり、UVカットのない濃いサングラスは、かけないほうがましという状況を作りうる。これは誇張ではなく、そのまま物理的な帰結である。
だから確認すべきは
購入時に見るべき順序は次のとおり。
- UV400、もしくは紫外線透過率1.0%以下の表示があるか — なければ検討対象から外す
- VLTが用途に合っているか — 街中で8%は暗すぎる
- 偏光の有無(別稿を参照)
- 色味と、それによる見え方の変化
順序が重要である。1がない製品は、2以降を検討する意味がない。
色による見え方の違い
UVカットが確保されている前提で、色は用途で選べる。
- グレー — 色の見え方が変わりにくい。汎用。運転にも向く
- ブラウン/アンバー — 青を抑えるためコントラストが上がる。曇天・霧に強い
- グリーン — グレーとブラウンの中間。目が疲れにくいとされる
- ブルー/パープル — 演色性は低い。意匠として選ぶもの
- イエロー — 薄暮・雪面でコントラストが出る。日中は明るすぎる
信号の識別が求められる状況では、赤と緑の弁別を損なわない色を選ぶ。ブラウン系は赤を沈めることがあるため、運転主体ならグレーが無難である。
表示のない製品について
土産物、雑貨店、露天。UV表示のないサングラスは今も広く売られている。当会の見解は明確で、装飾品として扱い、屋外で長時間使わない。
見た目が気に入ったなら、レンズを入れ替えればよい。枠と光学性能は分けて考えられる。
まとめ
サングラスは「暗くする道具」ではなく「有害な波長を止める道具」である。暗さはその副産物にすぎない。
濃さを選ぶ前に、止まっているかを確かめる。順序を間違えなければ、あとは好きな色を選んでよい。